エクステンションプログラム

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スマートウエルネスシティ アカデミー

スマートウエルネスシティ アカデミー
図1. スマートウエルネスシティ アカデミー開講の背景 概略図注)ESG:Environment(環境)、Social(社会)、Governance(ガバナンス) CSV:Creating Shared Value(共通価値の創造)

スマートウエルネスシティ アカデミー開講の背景と目的

人生 100 年時代を迎えて、我が国においても個人のみならず、組織、地域(まち)、そして国全体としてライフコースの見直しを検討する必要に迫られています。また、2015 年の国連サミットでは、SDGs を含む「持続可能な開発のための 2030 アジェンダ」を採択し、誰も置き去りにしないための新たな行動計画が示されました。これにあわせるように企業では ESG や CSV への投資が活発化し、事業を通じた社会課題解決による持続的成長への取り組みが重視されています。一方、自治体では、少子高齢化人口減による社会構造の変化で、社会課題の多様化・複雑化が大きな問題となっています。企業と自治体、いずれの立場からも社会課題解決に向けたビジネスモデルの創出が求められており、これを可能とする人材育成は急務です。

しかしながら、我が国の企業の多くは、社会価値を向上させるための新規ビジネスを構築・構想できる人材が育成できていないのが現状で、加えて、そのような人材を育成するフィールドや機会も不足しています。一方、自治体では、地域が抱える課題を新しい発想で解決できる人材、及び地域が有する価値を発見し、事業化できる人材が不足しており、もはや自治体単独では直面する課題の解決が困難な状況となっています。したがって、これからは「問題を発見し課題を設定する能力」、「従来の常識や前提を超えて発想する能力」、「事象を複眼的にとらえられる能力」、「論理的に解決策を導き出す能力」、そして「多様な人材とともに新しい価値を創出する能力」を有する人材が企業側にも自治体側にも求められているといえるでしょう。さらには、企業と自治体の協働によって新しい社会課題にアプローチし、その解決までの道のりを自ら描く人材の育成が必要であると考えられます。

そこで、このエクステンションプログラムでは、本研究センターが産官学連携で集積してきたスマートウエルネスシティ創生に関わるエビデンス、異分野連携のための先進的かつ強固なネットワーク、ならびに社会人大学院で 20 年近く蓄積されてきた実践的教授法を駆使して「新しいウエルネス社会の課題にアプローチし、その解決までの道のりを自ら描くことのできる人材」の育成を目指します。具体的には、「エビデンスベースでビジネスを構築できる人材」及び「バックグランドの異なるメンバーの価値観を理解し、互いの考えや強みを引き出しながら、チームとしての成果に結びつけることができる人材」を、ウエルネスやスポーツをはじめとする多彩な分野で広く活躍する経験豊富な講師陣とともに、インプットセッションとアクティブラーニングから成る先端的なプログラムにより育成します。

プログラムの構成

本プログラムは、「インプットセッション」と「アクティブラーニング」で構成されます。

インプットセッション

基礎セミナー
社会課題解決に不可欠な基礎能力を身につけることを目的とします。具体的には「課題の設定力と解決力」、「論理的思考力」、「事業計画の立案力」及び「データの分析力と活用力」といった能力を、筑波大学東京キャンパスビジネスサイエンス系の教授を中心とした講師陣の講義、及び講師-受講者間または受講者間のディスカッションを通じて身につけます。

事例検討セミナー
SWC 実事例から課題の視点と解決の実際を学ぶことを目的とします。SWCを目指す上で障壁となる社会課題に対し、解決に向けて挑んだ実事例を、まちづくりや DX 等の現場での経験が豊富な講師陣の講話から感知し、複眼的かつ近未来的な視点で事象をとらえ、戦略的に課題解決を導くことの重要性を学びます。

インスピレーションセミナー
最先端をゆくパイオニアからブレークスルーの起点を得ることを目的とします。主に従来の常識や前提を超えて発想する能力、あるいは新しい価値を創出する能力に焦点をあて、各分野のパイオニアである講師陣の講義や講師との対話からインスピレーションを得ることで、それらの能力を高めるきっかけとします。

アクティブラーニング

フィールドワーク
実際の自治体における特定課題を共有した上で、その課題解決に向けた仮説設定、リアルフィールドでの実地研修、及び課題解決を導くプロジェクト計画の立案を4〜5人のグループ単位で実践します。

グループワーク・メンタリング
インプットセッションにおける各講義後には、指定されたテーマに対し、講師を交えたグループディスカッションとグループ間のディスカッションを毎回必ず行います。また、フィールドワークで課される仮説設定や計画立案、ならびにそれらの資料作成をグループワークにより進めていきます。各グループに対してメンターを配置し、定期的なメンタリングも行います。メンターは、筑波大学スマートウエルネスシティ政策開発研究センターの客員教授、及び教員が担当します。

内藤久夫市長より実地研修地「韮崎市」のご紹介

実地研修先に韮崎市をご選定いただき感謝申し上げます。実際に本市が抱える課題を題材に実地研修を行っていただけますことに、厚くお礼申し上げます。

人口減少や少子高齢化の進展、新型コロナウイルス感染症の影響など、経験したことのない転換期を迎えるなか、将来像である『すべての人が輝き幸せを創造するふるさとにらさき』を目指して、活力あるまちづくりを推進してまいりましたが、昨今は、多様な年齢層の働き方や生活様式に大きな変化が生じたことで、運動やスポーツ、また交流の機会や外出頻度が減少し、子どもの体力の低下やフレイルのリスクが高い高齢者の増加が懸念されています。

こうした状況を打開するため、市営新体育館の建設を含め、様々な健康・スポーツイベントや交流事業を展開するほか、市スポーツコミッションによるスポーツツーリズムの推進を図るなど、子どもから高齢者・障がいをお持ちの方までのすべての人が生涯にわたって健幸で活力ある地域社会の形成を進めているところです。

今回のプログラムを通じて、研修にご参加される皆様方の優れた知見と経験を融合させて、持続可能なまちづくりを推進していきたいと存じます。どうぞよろしくお願いいたします。

石井 和芳町長

プログラム受講により期待されること

  • 企業、スポーツ・健康関連団体、自治体、及び省庁から選抜された受講者が、自治体が抱えるリアルな課題に取り組み、ビジネスモデル創出を通じた解決プロセスを体験することにより、企業やスポーツ・健康関連団体等の「産」側にとっては、自治体の意思決定プロセスや抱えている課題を把握することで、自社のビジネスを創出する可能性を見出すことが可能となります。一方、自治体や省庁等の「官」側にとっては、企業の意思決定のスピード感や最新の動向を知ることで、新しい価値観や組織文化を経験する機会を得ることができます。
  • データ分析・可視化の重要性に気づき、種々のデータを活用して現状把握、問題発見、課題設定、要因分析、及び戦略策定等をエビデンスベースで推進することに重きを置くことができるようになります。
  • 組織文化や価値観の異なる業種、異分野のメンバーまたは講師陣とのディスカッションや共同作業を通じて、自身の思考の枠組みや囚われに気づいたり、高い視座、多様な視点あるいは広い視野が得られたり、企業と自治体の文化の違いを理解した上で互いの利益につなげたりすることができます。
  • 『スマートウエルネスシティ・コミュニティ』に継続的に関わることができます。このコミュニティの詳細は以下の通りです。

筑波大学のエクステンションプログラム

筑波大学は、知の全ての分野において幅広い教育研究活動を展開する研究大学型総合大学として、自然と人間、社会と文化に係る幅広い学問分野において、深い専門性を追求すると同時に、既存の学問分野の垣根を越えた協働を必要とする領域の開拓に積極的に取り組み、国際的に卓越した教育や研究を実現することを目指しています。このエクステンションプログラムは、こうした社会貢献の1つの形として、本学の高度で先駆的な研究・教育分野から得られた成果をいち早く社会に還元し、皆様に見える形でお届けすることを目的としています。他に例を見ない学際的な融合により、火花を散らしながら生み出された最先端の学問を、それを基盤とした社会還元を目的としたプログラムを通じて、直接感じていただければ幸いです。

スマートウエルネスシティ・コミュニティ

本プログラムを通し生まれるコミュニティは、『スマートウエルネスシティ・コミュニティ』によって、常にリアルタイムに最新の知識や情報を共有できるようフォローアップされます。得た学びを踏まえ、自身のビジネスや社会実装を推進する中で、さらに未知の課題に直面することは容易に想像されます。そのような課題解決に向けて、本学との新たな産学連携事業や、共同でコンソーシアムを設立するなどの持続的な関係強化を促進します。修了後の具体的な活動展開の例として、各種イベントや研究会、講演会の開催、修了生のモデレータ参画などによって、変革し続ける本プログラムに継続的に関わることができるメリットがあります。