エクステンションプログラム

Extension program

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講師リスト

オープニングセミナー「本アカデミーにおける特定課題を共有する」

久野 譜也

久野 譜也

筑波大学教授(体育系)
スポーツウエルネス学学位プログラムリーダー
筑波大学SWC 政策開発研究センターセンター長
博士(医学)

1962年生まれ。筑波大学大学院医学研究科博士課程修了。博士(医学)。2011年より現職。2002年に健康増進分野日本初の大学発VB株式会社つくばウエルネスリサーチを設立。代表取締役社長を務める。科学的根拠に基づいた高齢化社会に対する日本の健康政策の構築を目指して2009年全国9市長とSmartWellness City首長研究会を立ち上げる。同会は2023年6月現在43都道府県120市区町村に拡大。スポーツ庁スポーツ審議会委員・健康スポーツ部会部会長を務める。

何がウエルネス社会の本質的課題なのか?

今、日本人の約7割が健康に無関心です。従来の1次・2次予防は、3割の個人を対象にしてきたわけですが、これからは社会環境全体に向き合い、個人が健康に無関心なまま、気づかないうちに健康になれる環境を整備する、いわば「0次予防」が必要でしょう。また、社会的孤立を深める要因である他人への無関心、他者との支え合いの忌避も大きな問題です。人は、楽しいこと、自分にとって利益のあること、必然性でしか動きません。国民全体を動かすためには、前向きなメッセージを打ち出すことが欠かせません。本講義では、課題解決力を磨き、社会を良くしていくことに責任を持てる人材=エリート人材の育成についても考えていきます。

中島誠

中島 誠

全国健康保険協会(協会けんぽ)理事
筑波大学SWC 政策開発研究センター客員教授

東京大学法学部卒業後、厚生省入省。厚生労働省生活習慣病対策室長、同省大臣官房参事官(健康・医療保険担当)、同省障害保健福祉部企画課長、内閣府子ども・子育て本部審議官などを歴任。また、九州大学大学院法学研究院助教授(立法学、社会保障法)、一橋大学大学院法学研究科客員教授なども務める。生活習慣病対策の抜本的見直し・拡充や医療費適正化計画の創設等、制度改革に携わり、医療保険運営体制の構築に関して、都道府県等の関係機関との調整・連携を推進させた。スマートウエルネスシティ政策開発研究センターでは、政策立案、ヘルスプロモーションを中心に、研究教育指導に取り組む。

政策形成・実施における官と民、そして学―ヘルスプロモーション分野での経験から―

基礎セミナー「社会課題解決に不可欠な基礎能力を身につける」

西尾 チヅル

西尾 チヅル

筑波大学副学長
筑波大学ビジネスサイエンス系 教授
博士(工学)

筑波大学専任講師、同准教授、米国UCLAアンダーソン経営大学院客員研究員、米国ペンシルベニア大学ウォートン経営大学院客員研究員を経て現職。日本学術会議会員(第一部経営学委員会委員長)。日本マーケティング・サイエンス学会や日本広告学会等の理事の他、中央環境審議会(環境省)や産業構造審議会(経済産業省)等の委員を務める。専門はマーケティング、消費者行動、環境コミュニケーション。

社会課題解決に求められるマーケティングとは―地球環境問題を中心に―

地球環境問題、SDGs等、企業や組織が抱える社会課題は多様化、重層化しています。市場を創り、市場との取引を円滑にすることを目とするマーケティングにおいても、今や、これらの社会課題解決に資するモノづくりやサービスの提供が求められています。しかし、どのような社会課題を対象とするかによってマーケティング・アプローチは異なります。本講義では、地球環境問題を中心として、市場を構成する消費者のエコロジー意識や行動のメカニズムを紹介するとともに、地球環境共生型のマーケティングのあり方と展開上の課題について概説します。

荒井 広幸

荒井 広幸

 

筑波大学SWC 政策開発研究センター客員教授

早稲田大学社会科学部卒業。福島県議、衆議院議員3期、参議院議員2期、新党改革代表を務めた。在職中に早大客員教授や安倍内閣で内閣官房参与なども歴任。主な政策と立法には、2003年7月成立「少子化社会対策基本法」(提出者兼議員連盟事務局長)、テレビ放送の地上デジタル化推進(自由民主党初代総務部会長)、麻生太郎内閣採用「家電エコポイント制度」(発案)、2012年2月23日施行「株式会社東日本大震災事業者再生支援機構法」(提出者)、2015年安保法制で閣議決定した自衛隊海外派遣の「国会事前承認」(発議)などがあり、幅広い分野で多くの政策を進め立法した。NPOから三ツ星議員として表彰されている。当センターでは、政策立案と立法過程を分析し社会実装をどうすすめるかを研究している。

シーズと関連性から政策立案と事業への展開―具体的な事例で考える―

課題解決手法は、様々な関係性でみることが有効です。まちづくりは、人づくり・社会づくりであり、様々なコミュニティの再構築・新生が不可欠です。「自分の得たものを街に返すことで、街そのものになっていく。相手が国となるとあんまり大きすぎて愛するのはたしかにむずかしい。しかし、自分の住むところなら、まだなんとかなるかもしれない。」これは作家井上ひさしの言葉です。こうしたことを深掘りしてみたいと思います。

倉橋 節也

倉橋 節也

筑波大学ビジネスサイエンス系教授
博士(システムズ・マネジメント)

計測・制御システム関連の民間企業に勤務しながら、放送大学教養学部産業と技術専攻卒業。筑波大学大学院経営・政策科学研究科企業科学専攻修了した後、筑波大学大学院ビジネス科学研究科准教授、Universityof Groningen(オランダ)客員研究員、University of Surrey(英国)客員研究員、科学技術振興機構研究開発戦略センター特任フェロー等を経て現職。社会シミュレーション、感染症モデル、経営情報分析、シリアスゲーム、機械学習、異常診断などの研究に従事。専門は人工知能、システム科学。

人と人との関係から社会課題に取り組むAI技術

イノベーションを創出する組織や分断を生まない組織とはどのようなものか、社会や組織の基盤となる社会規範はどのように成立し、どのような時に崩壊するのか、人口減少に対応したコンパクトシティを推進するにはどのような政策が有効か、感染症に強く、観光と共存できる街はどのようにして作られるかなどの、人と人との関係に大きく依拠した社会や都市、組織の課題に取り組むための、社会ネットワーク分析の手法と、AIシミュレーションの基礎を学んでいきます。

事例検討セミナー「SWC事実例から課題の視点と解決の実際を学ぶ」

青木 由行

青木 由行

筑波大学SWC 政策開発研究センターアドバイザー
(一財)不動産適正取引推進機構 理事長

1986年東京大学法学部卒業後、建設省(現国土交通省)入省。国土交通省、内閣府、復興庁、宮崎県、鳥取県等でまちづくり、道路行政、地方創生、建設業、不動産・土地政策等を担当。SWCの取組に共鳴し、2010年内閣官房で創生期のSWC等をモデルに総合特区制度を創設し、2019年国土交通省都市局長時にウォーカブルなまちづくり施策を創設。不動産・建設経済局長、内閣府地方創生推進事務局長等を経て2022年6月退官し、7月内閣府本府参与。同年10月より(一財)不動産適正取引推進機構理事長、筑波大学スマートウエルネスシティ政策開発研究センターアドバイザーを務める。

人口減少に立ち向かう基盤戦略としてのウォーカブルなまちづくり

今後の人口減少に立ち向かい、孤独孤立の防止、健康寿命の延伸、イノベーションの喚起、地域経済の持続的成長などの地域課題を解決するには、住民のアクティビティの向上とクリエイティブ人材が重要です。そのために必要な「場の力」をつくり、引き出すのが人間の普遍的特性を踏まえたウォーカブルなまちづくりです。本講義では、各地の先行事例を参照しながら、公民連携で進めるウォーカブルなまちづくりの本質と目的、いくつかのメソッド、今後の課題などについて解説し、今後、まちづくりを現場で議論するときの着眼点や考え方の枠組みを提供します。

松田 裕雄

松田 裕雄

筑波大学客員准教授(国際産学連携本部)
(株)Waisportsジャパン代表取締役
スポーツによる地方創生産学官連携プラットフォームコーディネーター

筑波大学体育系講師(バレーボールコーチング論)を経て現職。選手や指導者となる人材の発掘・育成から、スポーツマネジメント人材・起業家的人材・大学発ベンチャーの発掘・育成、産学連携事業の開発を手掛ける。筑波大学発のベンチャー企業を4社起業。分野横断型の研究ユニットで開発した「スポーツ環境デザイン」を活かし、北海道日本ハムファイターズとの「北海道茨城県プロジェクト」、岩手バレーボールコミッションとの「オガールプロジェクト」、国土交通省との「コンパクトシティ再生モデル事業(下妻市)」等、官学民を巻き込んだ人材・組織・地域開発案件を幅広く手掛ける。

スポーツ環境デザインと地方創生―官民連携によるマネジメント―

日本の経済停滞の要因に、多様性より画一性を重んじ、個人の自由な意思・発想にもとづく独創的行動が常に抑制されてしまう「モノ中心の環境設計」があげられます。イノベーションが起きない理由の一つともいえるでしょう。答えは常にひとつ!のSociety3.0時代がほぼ終わり、答えは常に複数!のSociety5.0時代を前に、人の独創性を引き出すための「ひと中心」の新しい環境設計が必要です。スポーツは、語源(Des-port)の通り、本来、人の自由な意思や創造性を発揮させるものであり、音楽や芸術同様に自分で自分の「内に秘めたる感性や資質」を新たに発見する機会でもあります。改めてスポーツの使い方を見直し、新しい環境設計を構想することは、地方創生のヒントとなるに違いありません。

神田 昌幸

神田 昌幸

大和ハウス工業(株)常務理事
大阪府・大阪市 特別参与
筑波大学SWC制作開発研究センター アドバイザー
全日本スキー連盟 副会長
日本オリンピック委員会 評議員

京都大学大学院工学研究科土木工学専攻修了後、建設省入省。国土交通省都市局街路交通施設課長、国土交通大学校副校長、倉敷市助役、富山市副市長、筑波大学大学院客員教授、京都大学大学院非常勤講師、東京工業大学非常勤講師、(株)まちづくりとやま代表取締役社長、富山ライトレール(株)副社長等を歴任。(公財)東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会輸送局長等を務めた。景観対策、コンパクトシティ政策、LRT等公共交通機関支援、健康まちづくり等を推進。富山駅駅前広場・自由通路・LRT軌道をプロデュースして2017年度グッドデザイン賞を受賞。現在、大阪・関西万博の交通・輸送等に関与。

地域再生のための次世代型『まちづくり』の社会実装はどのようにして実現されたか

人口減少期に入ったわが国においては、かつての人口増加期に設計された諸制度が機能しにくい状況が生じています。特に、1968年に制定された都市計画法に基づく都市計画行政は、近年の社会動態や地域経済の変容による土地利用の変化により、その実質的な効果が低減しつつあると考えられます。こうした都市を取り巻く環境の変化に対応するため、2014年には都市再生特別措置法の改正によりコンパクトなまちづくりが法的に位置づけられました。さらに、都市構造を規定する要素として鉄道や道路といった移動や物流を支える交通施設が極めて大切であることから、「コンパクト+ネットワーク」という考え方に基づき、今後の都市の望ましい在り方を示し、都市構造の改善を進めようとしています。また、都市政策に健康増進の観点も取り入れたウォーカブル・シティは、まちづくりの進め方に変革をもたらしています。

鈴木 邦彦

鈴木 邦彦

医療法人博仁会理事長
医学博士
日本内科学会認定医
日本消化器病学会専門医

秋田大学医学部卒業後、仙台市立病院、東北大学第三内科、国立水戸病院を経て、志村大宮病院長に就任し、現職に至る。日本医療法人協会副会長、中央社会保険医療協議会委員、日本医師会常任理事(医療保険・介護保険・福祉(認知症を含む)、地域医療、薬事、病院・有床診療所を担当)、社会保障審議会介護給付費分科会委員等を歴任。日本地域包括ケア学会事務局長、茨城県医師会長、日本在宅療養支援病院連絡協議会会長を兼務。

医療を中核とした『まちづくり』の社会実装はどのようにして実現されたか?

志村フロイデグループは、茨城県北西部にある人口4万人弱の小都市を中心に、地域包括ケアシステムの元になった地域リハビリテーションの理念に沿って、20年以上、事業に取り組んできました。その過程で、当グループの目標が地域の超高齢化対策、少子化対策、人口減少対策などと一体となっていることに気付き、簡単に移転できない中小病院は地域と運命共同体であることを自覚し、病院を中心とした高齢者や障害者、子供の皆が安心して過ごせるまちづくりを実践してきました。当グループのまちづくりには、職員有志のプロボノ組織「フロイデDAN」が大きく関わっており、その活動は合併前の旧5町村ごとの「小さな拠点」づくりから、市内92か所の集落ごとの「小さな小さな拠点」づくりへと発展しています。

久住 時男

久住 時男

筑波大学国際産学連携本部顧問

商社に勤務し、主に海外事業に従事したのち、52歳より新潟県見附市長を5期務め、筑波大学客員教授を経て現職に至る。地方創生有識者懇談会委員(内閣官房)や社会資本整備審議会委員(国土交通省)等、8省庁18の審議会等の委員を歴任。新潟県市長会長、北信越市長会長、全国市長会副会長も務めた。見附市長としては、就任当初より健幸政策をまちづくりの中核に置き、同市を健幸都市として醸成させた。第1回コンパクトシティ大賞、SDGs未来都市・モデル事業等にも選定された。退任後、全国市長会特別功労表彰、ベトナムダナン市感謝状、建設事業関係功労者国土交通大臣表彰などを受けた。スマートウエルネスシティ首長研究会の会長を設立当初より務めた。

健康都市の自治体づくりにおける意思決定プロセスと課題解決

厳しい繊維産業を主とする地方都市の首長に、「愛着と誇り」・「市民参加」を掲げて就任した私は、行政だけで課題は解決できないと判断し、指定管理者制度を積極的に取り入れました。セミナーでは、行政組織と企業・民間組織との連携の難しさを乗り越え、一地方都市が前例のない数々の事業に、如何にして取り組み得たかを具体的に解析したいと考えています。特に、スマートウエルネスシティとして歩んだ道筋を示し、市民アンケートで90.3%が住みやすいと答える都市になりえた理由を、ソーシャルキャピタル醸成の重要性と共に、受講者のみなさんと一緒になって考えたいと思います。

インスピレーションセミナー「最先端をゆくパイオニアからブレークスルーの起点を得る」

落合 陽一

落合 陽一

筑波大学図書館情報メディア系 准教授
デジタルネイチャー開発研究センター長
科学技術振興機構 戦略的創造研究推進事業 xDiversityプロジェクト研究代表
博士(学際情報学)

東京大学学際情報学府博士課程早期修了。日本学術振興会特別研究員、米国マイクロソフトリサーチでのリサーチ・インターン等を経て、筑波大学図書館情報メディア系助教としてデジタルネイチャー研究室を主宰。ピクシーダストテクノロジーズ株式会社を設立し、CEOを務める。筑波大学学長補佐、内閣府知的財産戦略ビジョン専門調査会委員、文化庁文化交流使などを歴任。大阪芸術大学客員教授、京都市立芸術大学客員教授、金沢美術工芸大学 客員教授、デジタルハリウッド大学特任教授などを兼務。World Technology Award、Prix Ars Electronica、EU Starts Prize、Laval Virtual Awardなど数多くの賞を受賞。また、令和5年度科学技術分野の文部科学大臣表彰、若手科学者賞を受賞。

多様な身体性を構成するためのテクノロジーとコミュニティ

落合陽一は、メディアアーティストとして10年以上活動してきました。そのコアにあるのは、波動に対する洞察とデジタルと非デジタルの境界面から観察することで得られる物質や生命への畏敬であります。生涯の探求の中で、計算機を使って波動を制御することを専門とし、研究者として大学に勤め、教員やJST CRESTの研究プロジェクトリーダーとして、AIを用いたタスク指向型開発による社会実装として、身体障害や認知機能の補完を目指すプロジェクトを行なっています。そういったタスク指向型システムを開発する上での注意点や、実世界指向システム周辺の研究動向、ケーススタディなどをお伝えします。

山口 香

山口 香

筑波大学体育系教授
SWC政策開発研究センター 副センター長
博士(生命医科学)

13歳の時に日本で初めて開催された全日本女子柔道体重別選手権大会(1978年)で優勝し、以後、同大会10連覇。第3回世界女子柔道選手権大会(1984年)では、日本女子初の金メダルを獲得。ソウル五輪(1988年)で銅メダルを獲得し、翌年引退。筑波大学女子柔道部監督、全日本柔道連盟女子強化コーチを歴任。現在は、筑波大学スポーツウエルネス学学位プログラムでスポーツマネジメントを担当。トップアスリートやトップチームが五輪やW杯などでパフォーマンスを高めるためのマネジメント、スポーツにおけるジェンダー、女性アスリートに特化した強化、アスリートのセカンドキャリアなどを研究している。

スポーツで考える日本の未来―多様な人材が必要な理由―

東京2020大会では、招致以来、コロナ以外にもさまざまな問題が浮上しました。組織委員会は、それらの問題を一つひとつ解決しながら、大会を成功へと導きました。起きた問題は、日本が、日本人が向き合うべき課題であったのかもしれません。コンセプトは「全員が自己ベスト」「多様性と調和」「未来への継承」の3つでしたが、これらをレガシーとして残すことができたでしょうか。柔道の創始者嘉納治五郎は、修行の方法を「形、乱取、講義、問答」としました。最初の二つは実技ですが、講義と問答は座学です。スポーツを通じて見えてくるものは少なくありません。東京2020大会は通り過ぎた風のように感じますが、そのプロセスを通じて蒔かれた種はたくさんあります。その種に水や肥料を与えて育てていくことが私たちの役割です。スポーツを切り口として、日本の未来を考えてみましょう。参加される皆さんとパスを回しながら、ゴールに近づいていけるような講義にしたいと思います。